実は、そうしないと生活できなかったのです。大学へ進学する際に、学費、東京での生活費並びに小遣いに至るまで、一切仕送り無しが条件でしたので、奨学金は貰ってはいたもののバイトで稼ぐしかなかったのです。
バイトの多くはバイト雑誌で見つけました。でも、友人や先輩からの紹介もずいぶんとありました。どちらかというと紹介されたバイトの方が、面白かったり身入りがよかったり、またその後、ぼく自身の役に立ったと言えるものが多かったと思ってます。
そんな紹介されたバイトの一つが、家庭教師でした。その家に行ってみると、小学校5年生と3年生の兄妹の勉強を見てやってほしいというものでした。2人もかよって思いましたが、月給を聞いて、即、OKの返事をしました。実際にいいバイト代だったのです。
さて、ぼくは家庭教師なんて、それまで当然やったことなんかありませんでしたので、最初は戸惑いました。でも、やるっきゃないと思って、頑張ることに決めました。なかでも困難なことは、相手が小学生であるということでした。こちらの頭では分かっているのです。でも、それをどういうふうに説明したら、小学生の頭に理解させることが出来るのかということでした。これがやってみると、なかなか困難な仕事なのです。
さらに、こちらが優しくしていれば、途端にキャッキャッと騒ぐし、怒れば泣くし、あまりに熱心過ぎても、あちらが飽きてくるしで、カネを稼ぐということは、それがバイトであっても、実際、大変なことです。
しかし、人間、我慢はするもの。小学生を相手にせっせと勉強を教えていた甲斐があって、人様に何かを伝えるということには、幾分、訓練が出来たように思っております。